地下倉庫。

その日、僕は大きな緊張と少しの期待を胸に抱いて地下倉庫の
丸イスに座り、ギャラリーのオーナーが来られるのを待ち構えていた。
そう、とあるギャラリーに自分の作品を持って、飛び込みの営業に訪れた。
そしてそこで待っているように指示されていた。
しばらくして扉が開き、オーナーが入ってこられた。
そして傍らにある丸イスにどっかと座り、僕の方を見つめ
静かに切り出された。
「君は陶芸が仕事なの?」
「はい、そうです。」
「・・・・・・」
少しの沈黙の後、
「じゃあ、一体どういうつもりなんだ!」
「えっ?」
「汚い格好で、しかもアポもなしに来るんじゃねえよっ!!」
「・・・・・・」
「何か勘違いしてるんじゃねえか?仕事だろ?社会人だろ?
世間ずれしてんじゃねえよ!」
確かにそうだった・・・連絡もなしに急に訪れて、たくさんのお客さんが
買い物を楽しまれておられる中、空気も読めず
「すみませーん!」とやってしまった。
しかもヨレヨレのシャツとジーンズで。。。
「ま、いいや、せっかく来たんだから。どんなもの作ってんだ?」
その後はどんな話をしたのかも思い出せません。
オーナーの顔も見れず、ただただ耳たぶが熱かったのだけは覚えています。
仕事に対する考えの甘さ、いい加減さ。。。
今から約20年程前の話です。

その後何年か経って、再びそのギャラリーを訪れた。
オーナーは僕の顔を見てニヤッと笑い、
「久しぶりだなぁ、コーヒーでも飲みに行くか!」
と、オープンカフェに誘ってくださった。




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by domingosdomingos | 2012-09-19 06:29
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